
転職面接や就活面接で「面接担当者を笑わせることができれば合格できる」という都市伝説や噂があるようです。
最近は、少しでも採用担当者の心に残るために芸人顔負けの芸を披露して、逆質問のときに笑いをとる人もいると聞きます。
今回は、逆質問では「面白い質問」をすべきなのか、ユーモアは返答に必要かについてお話しします。
転職の経験と採用担当の経験から執筆しています。
目次
「面接担当者を笑わせることができれば合格」はまるっきりの都市伝説とはいえない
転職面接や就活面接で「面接担当者を笑わせることができれば合格」という噂はまるっきりの嘘とはいえないかもしれません。
面接担当者も人間です。
話をしている相手の印象が良ければ笑うこともあります。
一方、面接で話しをしているうちに気分を害したり、つまらないと感じれば笑わないでしょう。
面接担当者は、必ずしも面接慣れしている人ではありません。
営業慣れしている担当者であれば、営業スマイルを面接中にも上手に登場させて、転職者や就活生の緊張をほぐすこともあります。
営業スマイルができる人を面接中に笑わせることができたとしても、それは演技である可能性があり、合格とは全く関係ないのかもしれません。
一方、不愛想な顔で質疑応答していた人が、何かの拍子に笑いだしたら固くなっていた心を溶かすことができたのでしょう。
面接の雰囲気がいい方向に進み、合格につながることもあります。
つまり面接担当者の笑には2種類あるのです。
面接担当者の笑いをとれたとしても、それが営業スマイルならば何の意味もないのです。
逆質問でいう「面白い質問」とは「笑える質問」ではない
面接担当者の笑いを意図的に狙う転職者や就活生は、逆質問のタイミングを待っている傾向があります。
確かに、逆質問では「聞かれたことにこたえる受け身の雰囲気」が「質問を投げかける攻めの雰囲気」に空気が変わります。
笑いを取りたいと思うならば、逆質問は絶好のチャンスです。
面接での逆質問は「必ずされる」と思い、事前に準備しておくといいでしょう。
逆質問によっては、それまでの面接をくつがえすようなインパクトを残すことも可能なのです。
そのため、就活生や転職者の中には「面白い質問」を考えてくる人もいます。
しかし、面接はあくまでもビジネスの場です。
いくらインパクトを与えたいと思っても、奇をてらった質問は避けたほうがいいでしょう。
中には、プロの芸人並みに口達者な人もいて、最後の逆質問だけで面接担当者の心をわしづかみにする人もいます。
しかし、それはごくまれな話です。
芸人のような笑いをとる「面白い質問」は、大きな賭けであり、失敗してしまうと面接自体が無意味に終わってしまうこともあります。
よほど自信がある場合を除き、面接の場では「まじめな面白い質問」を準備していきましょう。
「面白い質問」の具体例
面接で求められる「面白い質問」とは、笑える質問ではありません。
一般的な考えや常識からは思いもつかないような柔軟な発想から生まれた質問を面接担当者は「面白い質問」と感じるのです。
若い学生や社会人歴の浅い人は、「知っていて当たり前」「暗黙の了解」という考えが少ない傾向があります。
市販されている面接対策本には「暗黙の了解」をもとに書かれているため、面接担当者からみれば「使い古された質問」がほとんどなのです。
「いい逆質問例」と書いてある質問は、言い換えれば「すでに使い古された質問例」であると考え、そのまま本番で使うことはやめたほうがいいでしょう。
しかし、模範解答例は参考になります。
「どこまでくだけた質問ならば許されるのか」など、踏まえておきたい常識やマナーを知ることができるのです。
許される範囲を把握したら、自分の考えや言葉で逆質問したいことを考えます。
初めての転職ならば、中途採用についての不安や心配ごとについて質問してもいいでしょう。
就活面接ならば、学べるチャンスについての質問は向上心を伝えることもできます。
「面白い質問」とは、社か人経験が長い面接担当者には考えもつかないような質問ということなのです。
「面白い質問」が思い浮かばないときはどうしたらいい?
面接は緊張します。
緊張した雰囲気の中では、自分の言葉で話をするだけで精一杯になるものです。
頭が固くなり「面白い質問」が思い浮かばないときもあります。
そんなときには、無理に「面白い質問」を考え出す必要はないのです。
面接で無理をしてしまうと、入社してから大変になります。
面接では、合否判定だけでなく、入社後の配置についても考えながら話が進められていきます。
いつもは口下手で社交的ではない人が、面接のときだけ「上手に口達者な人」を演じることができたとすると、面接担当者は普段の性格を知らないため、「口達者で社交的な人だから営業部に配属しよう」と思ってしまうかもしれません。
面接受けする人は「口達者でハキハキとしている人」というイメージがあるようで、面接に来る多くの人はハキハキと大きな声でしゃべります。
しかし、社内に「しゃべる人」ばかりを集めてしまっては落ち着かないオフィスになってしまいます。
採用担当者は「しゃべる人」とあわせて「聞き上手な人」も求めているのです。
就活面接や転職面接は、求める側と求められる側のニーズが一致するかを確認するために行われるものです。
「しゃべる人は採用される」という簡単なものではなく、しゃべる人が欲しい会社ならばしゃべる人を採用しますが、そうでない場合は同じ人でも不採用になることもあるのです。
社会人慣れしていない人は、つい会社に自分を合せようと頑張る傾向があります。
しかし、面接中に「なにか無理している感じがする」と感じた場合は、面接担当者も採用をためらってしまうこともあるのです。
面接では、無理をせず「ありのままの自分」で勝負したほうが、後々楽に働くことができるのではないでしょうか。
逆質問で「面白い質問」がひらめかないときには、「素直な質問」をぶつけてみるといいでしょう。
「素直な質問」は、面接の合否や損得勘定がない質問です。
勤務に関することでも、会社に関することでもかまいません。
ただ一つ「相手を不快にしない質問」であれば、逆質問してもいい質問なのです。
「笑いがとれた人」は笑ではなく度胸や人間性が評価された
「面接の場で笑いがとれると受かる」という噂を聞きます。
しかし、笑いが取れたから受かるのではなく、面接の場で笑いをとろうとする度胸が評価されている可能性が高いのではないでしょうか。
最近の若い転職者や就活生の中には、電話をとることができない人も多いのです。
メールやラインなどの画面の中では気持ちが大きくなり、笑いをとることができても、顔と顔を合わせてみると挨拶すらできないという人もいます。
そんな中で、初対面の面接担当者に対して「笑いをとろう」とチャレンジできる精神力はたいしたものです。
度胸がある人は、初めてのことに対して恐れずに果敢に立ち向かうことができます。
どんなに高度なスキルや知識を持っていても、精神力がなければ働くことができないのです。
また、面接の場で笑いが取れた人は、人を惹きつける魅力を持っている傾向があります。
魅力がなければただのピエロになってしまい、笑いをとるところまでたどり着くことはできないでしょう。
面接で「笑いをとる」ということは、大きな賭けではありますが、結果を出すことができれば大きなプラスになることも確かなのかもしれません。
まとめ
逆質問は、最後のチャンスではありますが一発逆転のチャンスとは考えない方がいいでしょう。
面接で発したひとつひとつの言葉が採用へ近づく一歩なのです。