
恵方巻きは、節分に特定の方角を向きながら食べるのが縁起の良いこととされる、いわゆる太巻き寿司のことです。
最初は大阪を中心に行われていた風習ですが、今では全国に広まって幅広く行われています。
江戸時代にはもう全国に伝わっていますし、商売繁盛と厄払いを願って食する習慣として根付いたようです。
当初は節分の日の夜に巻き寿司を食べていましたが、それがやがて一本丸ごと食べる習慣に変わっています。
昭和の初期には節分の丸かぶり寿司として、現在の流行の先駆けが起こりました。
過去にこれまで何度もブームが起きては盛り上がり、落ち着くというサイクルを繰り返しています。
現代の習慣はビジネス的な面が色濃く出ていて、コンビニでの取り扱いと商品販売がきっかけになっています。
恵方巻きを食べる方角は歳徳神のいる方角
恵方巻きの面白い所は、毎年食べる時に向く方向が異なることです。
案外その決め方を知らない人が多いので、理由を理解して食するようにすると今まで以上に縁起が良くなるかもしれません。
例えば2018年は南南東となっていて、これが歳徳神という神様のいる方向を意味します。
歳徳神は幸運や金運を司る神様なので、これらの運勢が気になる人は食べる際の向きを良く確認することが大切です。
神様は毎年過ごす場所を変えるので、恵方巻きもそれに合わせた向きに変えることになっています。
方角は東西南北だけでなく、北西や南南西など細かく分けられるので誤解されます。
しかし恵方巻きに関しては、実は4種類しかないのが驚きです。
恵方巻きを食べる方角の決め方
決め方のルールは古代中国で使われてきた、十干という要素に基づいています。
十干は日付と空間に数字などが総合的にまとめられた考え方です。
風水や占いにも使われていますから、運勢が上がりそうな期待感が持てるのは当然です。
十干では恵方という4つが決められており、北北西や東北東、南南東に西南西といった具合になっています。
西暦の下一桁に十干が対応しているので、丁度10年で一回りすることになります。
つまり、方角は予め決まっているので、今年の方向を知りたければ西暦の下一桁と十干を照らし合わせれば良いわけです。
ルールを紐解いてみれば意外に簡単ですし、来年の方向も事前に把握しておくことができます。
決め方と呼ぶほどの難しいルールではないので、丸暗記してしまうこともやろうと思えば可能です。
・西暦の末尾が1・3・6・8→南南東
・西暦の末尾が2・7→北北西
・西暦の末尾が4・9→東北東
・西暦の末尾が0・5→西南西
恵方巻きの正しい食べ方
一方で気になることがあるとしたら、それは正しい食べ方でしょう。
具沢山の太巻きを楽しむのもありですが、折角神様が運勢をもたらしてくれるチャンスなので、ここはやはり正しく食べたいものです。
恵方巻きは一人一本を食べるのが基本ルールで、これには縁を切らないという意味合いが込められています。
ただ大人でも一本は結構な量がありますから、無理のない太さを選び、長さも食べられる量を念頭に切ることが肝心です。
高齢者や小さな子供は喉に詰まらせるケースもあるので、急がずゆっくりと少しずつ良く噛むことをおすすめします。
食べ方はあくまでも縁起担ぎですから、無理をして胃に詰め込むほどのものではありません。
大切なのはその年の恵方巻きの方角を向いて、歳徳神の存在を感じながら美味しく味わうことです。
目的は歳徳神に願い事をすることなので、向きや太巻きを食べるルールさえ守られていれば、きっと良い運勢をもたらしてくれるでしょう。
もう一つの重要なルールは、食べる時に喋らず無言で願い事を念頭に置きながらの完食です。
そもそも食べ物を口にしながらの会話はマナー違反ですし、気が散ってしまうので願い事の際にはご法度です。
恵方巻きで使われる具材は?
太巻きの意味には諸説ありますが、福を巻き込むのが有力とされていて、縁起の良い食材を切らずに食べ切るのが定説となっています。
具材の定番は卵焼きに椎茸やかんぴょう、それにキュウリや穴子などです。
高野豆腐も入れられることがありますし、甘く味付けされたでんぶも定番だといえます。
7種類の具材はメジャーな物で、七福神にあやかっているともいわれています。
現在では具材が多様化していて、海老を始めとした海鮮巻きも当たり前になっています。
サラダ巻きやとんかつ巻きなども珍しくありませんから、元の意味合いは大分薄れていると思われます。
まとめ
太巻きの習慣が残っていたり、今も変化しながら長く続いているのは面白いことです。
毎年決まった方角を向いて食べるルールも守られていますから、案外歳徳神は怒ったりしないで願い事を叶えてくれるかもしれません。
節分の豆まきと合わせて行うことで、運を遠ざける悪いものを外に追い出し、逆に良いものを呼び込んだり神様に願いが伝えられるようになるでしょう。
方角の決め方は思いのほかシンプルですが、だからこそ正確な向きが重要で意味を理解することも必要です。
最も大切にしたいのは歳徳神のいる場所で、こちらにいると頭に思い描きながら食べる所作です。
お正月を終えて1年が本格的に動き出すタイミングでの習慣ですから、理解を深めて取り組んでみることをおすすめします。