
がんになった人は抗がん剤治療を始め、手術を行ってがん細胞を摘出し、これ以上のがんが発生しないようにしていきます。
抗がん剤治療では正常な細胞にも効果が発揮されてしまい辛さが出やすいですが、複数のものをローテーションで投与していくために1回の治療には3週間や4週間もかかります。
場合によっては6週間もかかるケースがあるなど、治療は大変です。
1回の治療費は数万円から数十万円もかかるため、年間を通しては100万円を軽く超えることも珍しくありません。
こうした抗がん剤治療の費用に関して高額療養費制度を使って自己負担分を圧縮することが求められます。
目次
抗がん剤治療費の払い戻しを受けることができる高額療養費制度
高額療養費制度とは、同じ月に費やした医療費の自己負担分が高くなりすぎた際に、自己負担の限度額を上回った分に関して払い戻しを受けることができる制度です。
高額療養費の対象となるのは健康保険が使える費用のみです。
入院をした場合には入院代は適用されるものの、差額ベッド代や食事代などは対象外です。
抗がん剤治療に関しては対象となるため、高額療養費制度の活用が可能です。
自己負担額の上限は標準報酬月額によって決定しており、住民税が非課税の人は3万5400円以上の自己負担を強いられると、それを超過するお金の払い戻しを受けられます。
抗がん剤治療の対象となる高額療養費制度の仕組み
この制度で気をつけておきたいのは、月をまたいで医療費を支払う場合です。
基本的には月ごとの医療費が対象となり、1回あたりの医療費の計算にはなりません。
つまり、月をまたいで自己負担を超えるような金額を出していた場合には高額療養費制度の適用は受けられないことになってしまいます。
抗がん剤治療単体ではそうしたことにはなりにくいですが、入院を兼ねている場合にはその対象になってしまうことがあります。
また70歳以上の場合には計算式が変わります。
逆に自己負担額は下がるため、70歳手前の人は今一度確認をしなければなりません。
高額療養費制度の払い戻しされる金額の計算
例えば月収30万円の人の場合、自己負担額の上限は8万100円に医療費から26万7000円を引いて出た金額の1%を加算して計算を行います。
1回の治療で40万円かかったとすると、8万1400円が上限です。
窓口で負担をするのは3割の12万円であるため、12万円から8万1400円を引いた額の3万8600円が後で払い戻しされる計算です。
また世帯で合算をして計算を行うことから、子供などが風邪を引いて医療機関を利用した場合には、その費用も計算されます。
自己負担額に到達するか微妙な時は家族の医療費と合算するのも1つの手です。
抗がん剤治療の対象となる高額療養費制度の申請方法
実際に払い戻しの申請をする場合ですが、申請書の提出を行います。
申請書は2ページになっており被保険者情報や振込先の指定口座の情報、被保険者のマイナンバーの情報などを記載します。
もう1ページには診察月や受診者とその内容、実際に支払った費用などを書きます。
また1年間に3回以上この制度を利用している場合には、直近3ヶ月分の診察月を記載していきます。
マイナンバーカードがある人はマイナンバーカードのコピーを、ない人は個人番号通知のコピーや住民票に運転免許証やパスポートなどの身元確認書類のコピーを添付します。
これらを送付し審査が行われて払い戻しされます。
無利子で返還見込みのお金の一部を借りられる貸付制度
払い戻しされるには数ヶ月を要するため、すぐには返還されません。
抗がん剤治療はその間も行われ続けるため、その間どんどんお金がなくなっていってしまいます。
そうした時におすすめなのが貸付制度です。
返還されるまでの間は無利子で返還見込みのお金の一部を借りられます。
だいたい8割程度を貸し出してくれるため、これを元手に医療費に費やすことが可能です。
いわば前もって先に8割程度のお金を受け取るような形となっており、残りは当初予定されていた金額から貸付額を差し引いて振り込まれます。
しかし、万が一貸付額が多かった場合には返納しなければなりません。
高額療養費制度には限度額適用認定証の交付がおすすめ
一方、今後も高額療養費制度を使うことが濃厚な場合には、限度額適用認定証を交付してもらうことがおすすめです。
この認定証を交付してもらうことで最初から医療機関での支払いは自己負担限度額の上限で済みます。
以前は70歳以上の人が対象でしたが、70歳未満の人も対象になっています。
これなら自己負担分を超える費用を出さなくて済み、払い戻しを心待ちにしなくて大丈夫です。
発行の申請をしてからは1週間程度で発行されるため、すぐに利用できます。
病魔と長い闘いになることが明らかな人は発行しておいて損はありません。
まとめ
がんになり一番大変なのは費用面の問題です。
公的な制度を使ってサポートを受けられるのはとてもありがたいです。
申請をするのを忘れていた人でも2年以内であれば申請をすることでいつでも払い戻しを受けられます。
家族と暮らしている人は同じ月に医療機関を受診した家族がいないかを確認して一緒に申請するとお得です。
現在支払っている医療費がどうなっているのかを確認することが求められます。